資本主義社会では「一生お金に困らないようになりたい」と考えるのは普通。でもお金とは一体何か、お金のシステムについて知らないこと、教えられていないこと、無意識に信じこんでいることの表裏を本書で考察できる。
お金が存在しない時代には自分が働けなくなったら家族や友人や周りの人に食べさせてもらうしかなかった。その後お金が発明されると元気に働ける時に労働を提供してお金を貯め、働けなくなったらそのお金を使って食料を買えるようになった。お金を貰うと嬉しいのも自分がお金を使える姿を想像するから(p.94)
ところが現代社会においてのお金は、他の人を隠す「壁」のような存在になってしまった。「自分ひとりの世界を生きている」と感じてしまっている。この壁を取り払って他の人の存在に気づかないと自分のことだけを考えがちになる。(p.102)
日曜に映画館や買物や外食に行けるのは、働いてくれる人が居るから。お金の向こうに居る「人」の存在に気づけばサービスを受けた時に感謝する相手はお金を払ってくれた人でなくて「働いてくれた人」であることが分かる。「人」と「お金」のどちらを中心に経済を考えるかが、「持続可能な社会」か「人の心を失った社会」の分かれ目。そして「経済の難しい話は専門家に任せておこう。経済というものがどこかで機能しているはずだ。自分のお金を増やせば未来は良くなるはずだ」などと思ってしまう(p.256) 専門家たちが「経済のため」と言っていても、誰のためにもなっていないと感じたら、疑ったほうがいい。(p.257) 「お金の教育」は2022年に高校で始まったばかり。著者の田内 学氏は中高生への金融教育に関する活動をしている。
資本主義によって伝統的社会が崩壊したので、その結果少子化が起こり、2060年には8600万人まで人口減少となると予測されている。
その頃は空き家だらけで家は安価になり、就職も困らないはずだ。
本著を通して、「持続可能な社会」へ進むには、ひとりひとりの微力な力の蓄積がいかに大切かが分かる。
